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石ツイてない元素のお話石

今回は、鉱物というより、その鉱物を作っている元素の話を…。

みなさん、
「ニッポニウム」という元素をご存知ですか?
え?そんな元素知らない?
…それはある意味当然です。
何故なら、現在存在していないのですから。。。

しかし、
もしあの時きちんと判別されてたら、
日本の名前が付いた「ニッポニウム(Np)」が
元素として、正式に登録されていたかもしれない
のです。

ツイてない元素「ニッポニウム」。
その元素は、明治から昭和初めにかけて活躍した化学者
小川正孝によって発見されました。
小川先生は、1903年にインドで発見されたトリアニトという
鉱物の中に、微量ながら、
新しい元素を発見し、
さらに確実なものとするため、そのトリアニトを購入し
日本へ持ち帰って研究を続けました。

そして、ついに1908年。
1kgのトリアニトから、約0.1gの新元素の抽出に成功!
(はっきり言って、気の遠くなる話ですね…)
研究の結果、原子量が約100とのことで、
周期表のモリブデン(原子量約96)と、ルチニウム(原子量約101)の
間に入る、43番目の未知の元素であると確定し、
それを、
ニッポニウムと命名しました。

しかし、ニッポニウムを抽出出来たのは、
結局小川先生ただ一人で、
他の化学者によっての確認が出来ず、
この発見は宙に浮いたままになってしまいました。

ここで諦めない小川先生。
1930年になって、
彼は、当時最先端だったX線解析を試みます。

すると、原子量の計算違いが発覚!

正しい原子量は、約185と判明しました。
周期表の場所もずれて、75番目であると確定。
ただ、時は既に遅し。
1925年、同じ原子量のレニウムという元素が
ドイツの化学者ノダックによって発見されていました。

あー、あともうちょっと早く解析出来ていれば
レニウムでなくニッポニウムと命名出来たのに!!!


おそらく相当ショックだったのでしょう。
小川先生は、同年実験中に倒れて、亡くなりました。

ちなみに、
その後のニッポニウムですが。。。
1937年、イタリアの化学者セグレが、
周期表でニッポニウムの位置とされていた
43番目の元素は、天然の元素ではなく、
人工的に作られる「テクネチウム」であると、発表。
(実際の命名は戦後1947年のことですが)
ニッポニウムは、
本格的に永遠の幻となってしまいました。

そもそも原子量の計算違いが原因だったとはいえ、
全く踏んだり蹴ったりですね。


最後に追記
永遠の幻かと思われたニッポニウムですが、
近年、日本の化学者たちは、新たな「ニッポニウム」を目指して
研究を行っているらしいです。

いつか本当に、「ニッポニウム」という元素を
周期表で見れる日が来るかもしれません。



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