石

石色々な石の色石

美術と鉱物…。全く関係なさそうな分野なんですが、
実は根本的な所で深い関わりがあります。

美しい色を持つ石は、時に絵の具の原料となり、
また、時には、その石の名が色の名前としても、流通してきました。
鉱物類が絵の具の材料に使われた理由は、
色合いがその鉱物でしか出せず、他のものでは代用出来ないこと、
(ただし、現在では人工的に作られることも可能)
それから、鉱物によって作られる色は、安定していて、
長時間光に当たっていても、色あせないことです。
この2つの理由で、鉱物からは、多くの絵の具と、様々な色名が登場し、
それによって、数々の名画が誕生しました。

…ということで、「石が素になっている色」とは、どういう色なんでしょう!?
ここでは、そのいくつかを簡単に紹介してみます。
(説明は、左→右の順で説明していきます)

まずは、青系統から…
サファイア・ブルー(下図左側)、ラピスラズリ(下図中央)、
それと、アメシスト(下図右側)。



ペルシャの神話では、世界の基盤はサファイアで出来ていて、
空はその色を映して青い、と、言われていました。
空の色や、目の色を表現する時に、使われます。

ラピスラズリは、海を越えて伝わった、という意味で、別名「ウルトラマリン」
和名では、瑠璃色、群青色とも呼ばれ、群青というのは、
「青が群れ集まる」という意味があります。

アメシスト、和名は紫水晶で、名前の通りの濃い紫色を指します。
石自体は、紫が濃いものから薄いものまで様々ですが、
やはり、上記の色のように、紫が濃い方が、価値は高くなるようです。


次に、赤系統です。
ガーネット(下図左)、アゲイト(下図中央)、ルビー(下図右)。



ガーネットには、多くの種類があり、色も様々ですが、
色名として使われるのは、紫がかった、濃い赤い石です。

アゲイトとは、瑪瑙のことですが、色名として使われるのは、
赤縞瑪瑙(サードオニックス)の色。
石自体は、縞模様なので、色が特定出来ませんが、
この石を砕いて絵の具にすると、こういう色になるとのこと。

ルビーは、石の名も色の名も、よく知られていますよね?
血や唇の例えにも、使われますが、この色の歴史は古く、
16世紀ごろから、すでに使われていました。


青、赤…と来たら、次は緑でしょう!(根拠なし)
マラカイト・グリーン(下図左側)、ジェード・グリーン(下図中央)、
それからエメラルド・グリーン(下図右側)。



マラカイトは、和名「孔雀石」。
石の通りの緑青に近い、濃い緑色を、マラカイト・グリーンといい、
古代、クレオパトラが、アイシャドウに使っていた
とも言われています。


ジェードは翡翠のこと。(正確な石名はジェーダイトですが)
翡翠の明るい緑色を、ジェード・グリーンといいます。
実は、翡翠を宝飾品として使ったのは、日本が最初と言われ、
古墳からも、翡翠の製品が出土しています。

エメラルド・グリーンは、とても有名ですよね?
絵の具の色名として用いられ、多くの画家達に愛用されています。
ゴッホは、「糸杉のある麦畑」で、 糸杉を、
ビリジアンとエメラルド・グリーンとウルトラマリンで描きました。



緑系統は、もう少し続きます。
ターコイズ(下図左)、アクアマリン(下図中央)、
オパール・グリーン
(下図右)。



ターコイズは、トルコ石の、青緑色に由来します。
青と緑の間を指す、代表的な色ですが、それ故に、この色は
「ターコイズブルー」「ターコイズグリーン」という、両方の形容が存在します。

アクアマリンは、石自体「アクア(水)マリン(海)」の名の通り、
水色が代表的ですが、色名になると、
何故か上記のような青緑色を指します。

オパールは、遊色といって、色が光の加減で虹のように見え、
一定しませんが、その色合いをまとめたような
薄い黄緑っぽい、乳白色の色を、オパール・グリーンといいます。


えーと、当然これだけってことはないのですが、
とりあえずここまでにしておきます。
え?色が似ていて、余り区別出来ない!?
…ごめんなさい。私の色作成の技術は、これが限界だったんです。

でも、これを見たきっかけに、名画の鑑賞なんぞしてみると、
ちょっと違った見方が出来るかもしれませんよ!!
ただし、一歩間違えると、「理屈っぽい人」になる可能性大!


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