石

石日本の鉱物命名事情石

吉村、和田、若林、長島、渡辺、櫻井、杉、原田、鈴木…。

どこかのクラス名簿からコピーしたような
苗字ばっかりですが、さて、ここで問題!
この中で、鉱物の名前になっている苗字は、どれでしょう!?

答えは…
「全部鉱物の名前」が正解。

「えーまさか!!」と思った、画面の前のアナタ、
ウソだと思ったら、上の苗字の後に「石」を付けて(櫻井は「鉱」)、
試しに検索サイトで調べてみましょう。
私はこのページを書く為に、Googleとinfoseekで検索しましたが、
どれも、ちゃんと鉱物として認定されていました。

まぁ、この中で一番一般的な鉱物は、
「杉石」でしょうか。
そのまま「すぎいし」と読み、英名もそのまま「スギライト」です。
これは、割と鉱物ショップ等でよく見かけ、店員さんに質問すると
「スギライトのスギは日本人の苗字なんですよ〜」と、
説明してくれるくらい、最近はメジャーな鉱物です。
(個々の石のページにあります)


でも、なぜ人の名前が付けられたのでしょう?
その石を発見したから?その石について研究を重ねたから?

いやいや、調べてみましたけれど、
日本では、発見や研究した本人の名前が付くことは
ほとんどありません。
(かと言って海外の命名事情は詳しく知りませんが)
大抵は、発見した人の恩師や、今まで功績のあった
大学の教授、研究者にちなんで名前が付けられる
ようです。

と、いうことで、ここではちょっと面白い由来を紹介しましょう。


まずは上に示した名前の中から
「櫻井鉱」

1964年11月、地学研究者の櫻井欽一は、紫綬褒章を
最年少(51才)で受賞されました。
その時、東京大学の渡辺武男と、国立科学博物館の加藤昭は、
記念に、彼の名前を新鉱物に献名しようと相談。
しかも、常に文献に引用されるような立派なものがよいと、
考えました。

とは言っても、そんな都合良く新種の鉱物が
見つかるとは、とても思えませんが、
何と、
その月の下旬に、希望通りの新鉱物発見!
正に受賞記念の新鉱物発表となったそうです。
これこそ幸運の鉱物ですね!


次は
「原田石」「鈴木石」について。

原田準平(1898-1992)鈴木醇(1896-1970)
共に北海道大学理学部地質鉱物学科の草創期の教授で
基礎を築いた
両巨頭でした。

1962年に発見された新鉱物が
「原田石」となって8年後、
鈴木醇は亡くなりますが、そのさらに12年後の1982年、
原田石の変種が発見されました。
原田準平の名は原田石となっているのに、
鈴木醇の名がついた鉱物がないということと、
原田石に負けないくらい立派であるということで、
その新鉱物は
「鈴木石」と命名されたそう。
ちなみに、既に名前の付いていた原田石は、
論文が遅れて、鈴木石と同じ1982年に公式発表。本当に、

最後の最後(!?)までご縁のあったお二人
でした…。


では最後に、面白いというより珍しい石を紹介します。
その名も
「弘三石」(こうぞういし)

この名前は、東京教育大学と筑波大学化学科で
新鉱物や数多くの鉱物の記載に貢献した長島弘三(1925-1985)
因んで1999年に承認された新しい鉱物ですが、
なぜ、「長島石」としなかったんでしょうねぇ。

それは、「長島石」という鉱物が既に存在していたからでしょう。
長島石は1978年に発見され、
アマチュア鉱物研究家の草分け、長島乙吉(1890-1969)に因んで
1980年に承認されていました。

ちなみにこの2人の長島さん、私は偶然の一致だと思ってたのですが
読者のメール投稿により、実は
「親子」であることが判明!
親子で鉱物事典に載るなんて、すごいことです。
まぁ、先に付いた「長島石」の元が父親なら、
息子の方は諦めるしかないですね(笑)。
…二世もここまで来るとスケールが違う!?


それにしても、鉱物に自分の名前が付くというのは、
とても大変なことだと実感しました。
彗星の場合は、大抵発見者の名前が付くようですけれど、
名前を残すなら、どっちの方が確率高いと思いますか!?


その他雑談 トップ アイコン
トップ


石