
鉱物データ解説 (晶系、硬さ)
それでは、前の話に引き続いて、データの説明をしていきます。
今度は「晶系」と「硬さ」の話です。
まずは「晶系」
多分ここで示したデータの中でも、
一番専門的で、分かりにくいのがこれでしょう。
また、説明する方にとっても、
文章ではなかなか伝えられないのが、これです。
なので、「晶系」の話は、図を交えて説明します。
では、始めに「晶系」って何でしょう?
それは、鉱物を作っている結晶の形のことなのです。
鉱物の中の原子やイオンは、規則正しく並んでいる為、
それが積み重なると、ある一定の形が出来、「結晶」と呼ばれます。
結晶は、原子の並び方によって決まりますが、
そうして出来あがった結晶の形を「結晶系」、
略して「晶系」というのです。
晶系には、一定のパターンがありますが、
6種類にわけることが出来ます。
結晶のない鉱物は、水銀とオパールだけで、 その他の鉱物は、
この6種類のどれかに、必ず当てはまるのです。
では、この6種類を、図と一緒に説明していきましょう。
最初に、一番分かり易い「等軸晶系」。

これは見ての通りの立方体です。
縦、横、高さが全て等しく、サイコロのような形をしていて、
中には八面体(下図左側)、十二面体(下図右側)のようなものもあります。


この結晶の形の鉱物で、分かり易いのは、やはり黄鉄鉱(↓写真)でしょうか。

岩石(母岩)にポツンと立方体の黄鉄鉱が刺さっているでしょう?
次に、この立方体を縦長にしたような形の「正方晶系」。

一つの面に、直角に交わる面が3つあり、
そのうち2つの面だけが、縦、横、高さともに等しくなっています。
これも変形版(!?)が存在します。左は魚眼石のモデル、右はベスプ石のモデルです。


その次は、「三斜晶系」(下図左側)と、「六方晶系」(下図右側)。


「三斜晶系」は、6つの晶系の中で、一番対象性がなく、
全ての面が、縦、横、高さともに異なり、
面と面はどれも直角に交わりません。
「六方晶系」は、六角形の鉛筆を、両側から削ったような、
六角柱、または三角柱のような形をしています
六方晶系の代表的な鉱物は、石英の結晶である水晶(↓写真)。

確かに、一つ一つのポイントの先端は、六方晶系の図に似ていますね。
最後に「単斜晶系」(下図左側)と、「斜方晶系」(下図右側)。


「単斜晶系」は、縦に二分し、表と裏が同じ形になっています。
鉱物の中では、一番多く見かける晶系です。
「斜方晶系」は、テーブルのように平たい形か、柱のような形が多いです。
3つの面の、縦、横、高さはは異なりますが、
互いに直角に交わってます。
中にはこんな風に二つの石が組み合わさったもの(貫入双晶)もあります。

十字石のモデルです。
ただし、これは本によって単斜晶系だったり斜方晶系だったりで
どちらかは、微妙なようです。でも面白いですよね。
さて、6つの晶系の説明が終わりましたが、理解出来ましたか?
実は、本当言うと、書いた本人も、
この文章と図でわかるのか、自信ありません。
そもそも、一応図で表してみましたが、
これはあくまで「一例」にすぎません。
例えば、一番単純な形をしている「等軸晶系」。
これも、正方形のものが代表的ですが、
この結晶が組み合わさって、八面体になったりします。
それぞれの晶系に関する「定義」は、決まっているのですが、
その定義通りの形というのは、何通りもあるということでしょうか。
で、一番分かり易いのは、やっぱり本物を見ることです。
黄鉄鉱や、水晶なんかは、占い系の雑貨店でも、よく見かけますので、
このページを何回も見直すより(そんな人いないと思うけど…)、
石を実際に見た方が、絶対にいいと思います。
ちなみに、前編の「光沢」の話で、
「原石ではない加工された石の方がよい」と 書きましたが、
「晶系」はその逆です。
丸くカットされている石を見ても、当然元の結晶はわかりませんよね?
結晶の形を知るには、
原石をそのまま見た方がよいのです。
予想以上に長くなってしまいましたが、最後に「硬さ」の話です。
「硬さ」とは、その名の通り、鉱物の硬さを示してますが、
一番硬い鉱物を10として、1〜10までの10段階に分かれています。
でも、例えばデータで「硬さ:5」とか言われても、
それが具体的に、どんな硬さなのか、分かりづらいですよね?
実際に鉱物の硬さを調べる時は、
身近にあるもので石を引っかき、傷が付くかどうかで調べます。
ですので、ここでは、その身近なものの硬さを示してみましょう。
まずは爪。これが2.5です。
これで傷つく石は、2.5以下で、かなり柔らかい石です。
次に硬貨で、これは3.5。
1円玉よりは、10円、100円あたりを基準にしているんでしょうか。
それからガラスの板が5.5。
窓ガラスを引っかいて、ガラスに傷が付けば、それ以上です。
あと、日用品ではないんですが、
石英が7で、硬い鉱物はこれを参考にします。
石英というとピンと来ないかもしれませんが、
その仲間の紫水晶や紅水晶といえば、
雑貨屋さんでもありふれていますよね?
ちなみに、一番硬い鉱物は、もちろんダイヤモンドです。
ダイヤの硬さは郡を抜いてて、
硬さ9のコランダムの9倍の硬さがあります。
では、そのダイヤを研磨する時は、どうするのでしょう?
ダイヤは一番硬い鉱物なので、磨く時は、ダイヤの粉しか使えません。
ダイヤ同士をぶつけることによって、あの輝きが生まれるのです。